「クリヤー」と「マントラ」
クンダリーニ・ヨガのセット「クリヤー」とは
クンダリーニ・ヨガの特長は、「クリヤー(Kriya)」と呼ばれるエクササイズのセットにあります。Kriyaはインドの言葉で「行動」という意味です。
クリヤーを練習していくと、肉体的にも精神的にも変化が起き、体と心に同時に良い影響を与えます。
クリヤーには非常に多くの種類があり、ひとつひとつのクリヤーにそれぞれ独自の目的と効果があります。サット・クリヤー(下記コラム参照)のように、単独で完結するものや、瞑想だけのクリヤーもあります。
サット・クリヤー
岩のポーズ(正座)で座り、腕を頭の上に伸ばして、頭をはさみます。手のひらを合わせ、指を組み、人差し指で天井を指します(図参照:合掌のままでも可)。お腹を凹ませ、へそを背中に押しつけ、マントラ「Sat(サット)」と唱えます。次に、お腹をゆるめて「Nam(ナム)」と唱えます。10秒間に8回を目安としする一定のリズムで、これを繰り返します。最後に息を吸い、5~10秒間息を止めます。お尻から背中全体、肩を過ぎたあたりまで、筋肉を下から上に固く引き締めます。心の中でエネルギーを頭に向けて流します。背骨に沿って運ばれたエネルギーが、頭頂からあふれます。息を吐いてリラックスします。
マントラとは
音のヨーガ、マントラ
マントラは日本では真言や呪(しゅ)と呼ばれ、古代から心を調整するすぐれた方法として受け継がれています。マントラには多くの種類があり、それぞれに特有の効果があります。
クンダリーニ・ヨガでは、世界は「エネルギー」でできていると捉えます。
エネルギーはそれぞれ固有の波動を持っています。たとえば、物質はゆっくりと低い波動のため目で確認することができますが、思考や感情などのようなエネルギーは非常に素早く高い波動のため、目で見ることはできません。
マントラも波動です。思考や感情のひとつひとつにもまた、固有の波動があります。
マントラの高い波動を使うことで、心を高い波動に同調させる技術をマントラ・ヨガといい、音のヨガとも言われます。
クンダリーニ・ヨガでは、体を動かすエクササイズや呼吸法、瞑想と並んで、マントラもエクササイズによく用いられます。
マントラの作用
マントラの効果は、音が持つ波動だけではなく、舌と口の中にあるツボによっても生まれます。口の中には多くのツボがあり、話すという動作だけでも舌でツボを刺激していることになります。正しい言葉を話すことは、脳に正しい信号を送ることです。正しくマントラを唱えると、チャクラ群を解放するような信号が脳に送られます。マントラは、正しい信号を脳に送る技術でもあります。
また、マントラの音は、体の特定の場所や、チャクラに共鳴するように働きます。視線や注意をその場所へ向け、マントラを唱えることで、その音を共鳴させるのです。
したがって、マントラを唱えるときには、ただ発音するのではなく、音を響かせるように意識して発声することが重要です。音に含まれるエネルギーを意識することで、マントラの効果はさらに高まります。